2008年10月23日木曜日

動物管理センターからの奇跡の生還/その3


■日々の進歩!

恐怖の対象には、長く触れて「あっ!それほど怖いものでもないな」と慣れてもらうしかないと考え、出来るだけ犬舎で過ごそうと決めました。人、他の犬、大きな音、車、段階的に慣らして行くしかありません。最初は何もせず視線も向けずに隣に座るだけ。次には、ただ出入りを繰り返したり、犬舎内で黙々と作業する…人に対しての恐怖を少しでも減らしたい。見える犬には全て吠えかかるマミィに、自宅の犬をマミィの目の前にずっと座らせて、マミィが唸り疲れるまで置いておく。刺激の少ない事から順にどんどんと触れさせると同時に、外に連れ出す事も始めました。排泄の欲求から外に出たいマミィは、夜中に小窓から脱出しようと試みるのですが、人が出入りする昼間は、出たくても身体が固まってしまい行動出来ないのです。
 幸いマミィは恐怖感から唸っても、人に対し攻撃に転じる事はありませんでした。尻込みするマミィを抱き上げ初めは犬舎の裏庭に、次の段階は門を出て数軒先までと、遅々とした歩みですが、少しずつ外へ出る距離を伸ばして行きました。人とすれ違う、自転車が横を通る…身を堅くして座り込みます。横断歩道を渡る事にも時間が掛かりました。エンジン音や車の勢いに怯んで後ずさりし、前に進めません。横断歩道を前にして、ただ座り続けて時を過ごしました。
 通行する人や他の犬に飛びかからんばかりの勢いで吠え立てたマミィも、時が経つに連れ頻繁に出会う犬への威嚇が薄らいで来ると同時に、表情が穏やかになりました。犬舎では保護犬の入れ替わりが頻繁に起こりますが、新しく入って来た犬にも自然に慣れ、保護犬をみんな自分の子供の様に面倒をみて、遊んでやり、散歩の時には家族として守る母と変化して来ました。本来、母性愛の強い優しい犬だったのでしょう。

その4につづく)

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